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種類株式とは?VCからの資金調達でも利用する種類株式の基本と活用例


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種類株式という言葉は、経営に近いところで仕事をしていないと、なかなか聞き慣れない言葉かもしれない。ただ株式投資をしている人達にとっては、聞いたことのある言葉だと思います。トヨタが発行したAA型種類株式で、一時期盛り上がっていたことがあるので聞いたことがあるはず。

種類株式は、事業承継の場面だけではなく、ベンチャー企業の資金調達などの際にも活用されることがあります。

そこで本記事では、種類株式のキホンと、種類株式の活用イメージについて、ざっくりとお伝えします。

普通株式

まずは種類株式について説明する前に、普通株式について説明します。

例えば、ネット証券などを通じて上場企業の株式をトレードすることがあると思います。通常の取引で売買している株式は、基本的に普通株式です。

ネット証券を通じたトレードで株式を取得すると、会社に対して持ち株数に応じて配当金を請求できるようになりますし、株主総会の決議に参加できる議決権(一株一議決権)も取得します。簡単に説明すると、これが普通株式の内容です。

株式を取得することで、配当請求権と議決権という株主にとっては基本的な権利を得ることができます。

ただ取得する株式によっては、普通株式よりも多い配当を請求することができたり、あるいは、議決権をナシにする株式も発行することができます。これが種類株式と言われる株式の例です。

上場企業が発行している株式はほとんどが普通株式ですが、上場企業が種類株式を発行していはいけないわけではないんですね。例えば、冒頭で触れたトヨタ自動車以外でも、CYBERDYNEは種類株式を発行しています。

まずはざっくりと、種類株式の内容とその活用イメージについて説明します。

種類株式とは、普通株式とは違った種類の株式ということで、その種類は全部で9つあります。

種類株式1. 剰余金の配当

剰余金の配当(配当金)について、普通株式と異なる内容の株式を発行することができます。これが「剰余金の配当」についての種類株式です。

この剰余金の配当に関する種類株式では、例えば、配当金を普通株式よりも優先的に支払うことにしたり、配当金支払い時の金利水準にスライドして支払う(金利+〇%のような支払い)というような内容にすることもできます。

またトラッキング・ストックの発行も可能です。このトラッキング・ストックというのは、会社がその特定の事業部や、子会社の業績などに配当を連動させるような種類株式のことで、実際にソニーがトラッキング・ストックを発行したことがあります。

剰余金の配当に関する種類株式の活用イメージとしては、例えば、会社に対して出資はして欲しいれども、「経営に口は出して欲しくない」ような場合にこの種類株式を活用できます。

後ほど説明する「議決権のない株式」と組み合わせて、優先配当はするけれども、議決権のない株式とすれば、経営に口を挟まれることなく資金調達することも可能になります。

種類株式2. 残余財産の分配

残余財産の分配について、普通株式と異なる内容の株式を発行することができることになっています。これがいわゆる「残余財産の分配」についての種類株式です。

会社が解散などで消滅することになった場合には、まずは債権者に弁済する必要がありますが、それでも会社の財産が余った(残余財産)ときには株主に分配することになります。

残余財産の分配に関する種類株式では、例えば、出資の払い込み額に相当する金額については他の株式に優先して返還されるというような内容にすることができます。

そもそも会社は将来的に継続することを前提として設立されていて、経営者も夢と目標を持って会社を設立しているはずです。こうした状況にあるので、会社が消滅することを前提とした「残余財産の分配」に関する種類株式は、実際の利用件数としては(全体としては)少ないのではないかと思います。

ただ、スタートアップの場合だと、少し話が違ってきます。詳細は省きますが、残余財産について優先的な株式をエンジェルなどの投資家に与えることによって、シードやアーリーのベンチャー企業に対して思い切った投資ができるような仕組みにして、この種類株式を活用することができます。

因みに、スタートアップがVCから資金調達するときには「みなし清算条項」が盛り込まれることがあります。

VCからの資金調達で活用される「みなし清算条項」とは?

種類株式3. 議決権制限株式

議決権制限株式も、種類株式の1つで、株主総会で議決権を行使できる事項(例えば、増資やМ&Aなど)について制限されている株式です。

議決権制限株式を発行することで、完全に議決権を奪うこともできます。

議決権を完全に奪うこともできますし、一部の決議事項についてだけ議決権を制限することもできます。

議決権制限株式の活用イメージとしては、例えば、次のようになります。登場人物は甲と乙とします。

甲はある薬剤を開発するために、相当の研究開発費を投入したので、手元の資金は全くないのですが、研究開発した甲斐があって、その薬剤についての特許を取得しました。甲は資金がないうえに、研究開発に没頭していたこともあり、人的ネットワークがない。したがって、販路拡大も期待できない状況にあるとします。

そこでネットワークも資金も豊富な経団連の理事乙が、以前からたまたま甲と顔見知りだったこともあり、甲の会社に出資することにしました。乙はネットワーク、販路、資金は豊富だけれども、特許も薬剤もない。

甲は経営に口を挟まれたくないので、議決権のない株式を発行して乙から資金調達することにし、販路開拓の見返りとして、別途、報酬を支払うことにしました。

※ 経団連というのは、あくまでも例え話です。

このように資金は調達したいけれども、経営に口を挟まれたくないときは議決権制限株式を活用するという選択肢があります。

余談ですが、上場基準との関連で議決権制限株式について補足すると、議決権制限プランというものがあります。

議決権制限プランというのは、例えば、買収防衛策として、議決権制限株式を活用して、発行済み株式の15%以上の株式を保有する株主の議決権は行使できないとするような会社内部の取り決めのことです。

こうした議決権制限プランのある株式は上場できないことになっています (新規上場ガイドブック2017 市場第一部・第二部 P100参照)。

また事業承継の場面に関しては、後継者にだけ議決権を与え、その他の相続人が相続する株式については議決権を制限するという活用方法もあります。

種類株式4. 譲渡制限株式

譲渡制限株式というのは、その名の通り、譲渡が制限された株式です。

種類株式の一種で、譲渡するには、株主総会や取締役会の承認が必要になります。

この譲渡制限は、普通株式にも、株式の種類ごとにも設定することができます。

(会社法上は)会社に出資したことで取得する株式は、いつでも売買をして、出資した資金を回収できるのが大原則となっていますが、次のような理由があって、株式の譲渡を制限することもできます。

理由というのは、株式の譲渡に際して会社の承認を必要することで(譲渡制限することで)、会社にとって好ましくないものを排除し経営を安定させる狙いがあるからです。

おそらく、日本の中小企業の株式には、ほぼ全てこの譲渡制限規定が付いているはずで、この規定の付いていない中小企業を探し出すのは難しい。

種類株式5. 取得請求権付株式

取得請求権付き株式というのは、株主が会社に対してその株式を取得するように請求できる株式のことです。

普通株式の場合には、株主は会社に対してこうした請求は基本的にできません。

活用イメージとしては、例えば、上場を目指している会社がエンジェルに対して出資を依頼したとします。けれど、エンジェルにしてみれば、この会社は本当に上場できるかどうか確信を持てないかもしれない。

エンジェルにしてみれば、例えば、7年以内に上場できない場合には会社にこの株式を買い取るよう請求できるならば出資しやすくなります。こうした場合、取得請求権付き株式の発行が選択肢の1つになります。

また、事業承継の際に、黄金株と組み合わせて活用するという方法もあります。黄金株との組み合わせパターンについては後述します。

種類株式6. 取得条項付株式

取得条項付株式というのは、一定の事由が生じたことを条件として、会社が株式を取得することができる株式のことです。

上で説明した取得請求権付き株式は、「株主からの請求」で会社が取得することになる株式でしたが、この取得条項付株式は、会社が、株主の同意なく、一定の事由が生じたことを条件として強制的に取得することができる点に両者の違いがあります。

活用イメージとしては、例えば、ベンチャー企業に経営参画する役員のモチベーションを上げるために株式を保有させている場合に、退職したときにまで株式を保有させておくと、悪質な人に譲渡される可能性があります。こうなると経営の安定性がなくなって、組織再編など、大切な事項がスムーズに決議できないリスクがあります。

こうしたリスクを事前にヘッジするために、退社を条件として、会社が株式を取得する株式(取得条項付株式)を発行するという活用方法があります。

またスタートアップでは次のように定めることもあります。

 当会社は、A種優先株式の発行以降、当会社の株式のいずれかの金融商品取引所への上場(以下「株式公開」という。)の申請を行うことが取締役会(当会社が取締役会設置会社でない場合には株主総会)で可決され、かつ株式公開に関する主幹事の金融商品取引業者から要請を受けた場合には、取締役会(当会社が取締役会設置会社でない場合には株主総会)の定める日をもって、発行済のA種優先株式の全部を取得し、引換えにA種優先株主に当会社の普通株式を交付することができる。

これは実際に上場準備会社が発行した取得条項付株式の内容です。基本的には、種類株式を残したままの上場は難しいので、上場前に会社が種類株式を取得する代わりに、普通株式を交付する内容になっています。

その他、買収防衛策としても活用パターンもあります。これは、敵対的買収者が一定割合以上の株式を取得した場合に、その買収者に(取得条項付株式と引き換えに)議決権制限株式を交付するというものです。

種類株式7. 全部取得条項付株式

全部取得条項付株式とは、株主総会の特別決議によって、その全部を取得することができる株式のことです。

取得条項付株式は、株式の取得にあたって一定事由の発生が必要でしたが、この全部取得条項付株式は会社の意思(特別決議)で取得できる点で、取得条項付株式と違いがあります。

活用イメージとしては、次の通りです。

典型的なパターンとしては、企業再生の場面で株主A、B、Cを、D、E、Fに総入れ替えするときのように、株主全員の入れ替えの場面でこの種類株式が活用されることがあります。

新聞などでは100%減資などという言葉が使われていることがありますが、これはいわゆる株主の総入れ替えのことを指しています。

その他の活用イメージとしては、М&Aの場面で、TOBを実施した後に少数株主を排除するために活用されることがあります。

種類株式8. 拒否権付株式

拒否権付き株式というのは、黄金株とも言われ、ざっくり言うと、株主総会決議のほかに、黄金株の株主の承認も必要となる株式のことです。

例えば、会社を合併をするときには株主総会の決議が必要になります。拒否権付き株式を発行している場合には、黄金株を保有している株主の承認も必要になります。

活用イメージとしては、次の通りです。

例えば、VCが少数株主としてベンチャー企業に投資するときに、株式の保有割合が少ないながらも、会社の経営に対して影響力を持ちたいと考えることがあります。こうした場合は、黄金株を発行することになります。

ただ現経営陣とVC側の意見対立し、この場合に拒否権を発動されると、まさにデッドロック状態となり経営が膠着状態となって、何も前に進みません。これが黄金株のデメリットでもあります。

また事業承継の際に、上で説明した取得請求権付き株式と組み合わせて活用することもできます。例えば、新経営者が未だ経験が浅くて十分な経営判断が期待できない場合には、旧経営者に後見的な役割として「黄金株」を与えます。そして、新経営者が経営者として自立できたときに、旧経営者は会社に黄金株の取得を請求できるような設計にした種類株式を発行します。

種類株式9. 取締役・監査役の選解任権付株式

取締役・監査役の選解任権付株式というのは、ざっくり言うと、取締役や監査役を選任したり、解任したりすることができる種類株式のことです。

例えば、株式の保有割合が少ないVCがベンチャー企業に役員を送り込みたいときに、VCがこの種類株式を取得すれば、役員を送り込むことが可能になります。

ベンチャー企業側とVCとの間の株主間契約で、VC側の役員をベンチャー企業に送り込むことを約束することは可能ですが、もしベンチャー側がこの約束に違反した場合、VC側は契約違反の責任を追及することは可能ですが、実質的にVC側の役員を送り込むことは相当難しくなります。

そこで、VCがこの取締役・監査役の選解任権付株式を取得しておけば、自分たちの役員を送り込むことが法律上保証されることになります。

種類株式の組み合わせ

以上、9つの種類株式について説明しましたが、種類株式は9つの種類株式を組み合わせることで会社独自の種類株式を発行することができます。

どのように組み合わせるかで資金調達で効果的に活用できることもありますし、事業承継のときにもいくつかの種類株式を組み合わせて円滑な承継を実現することも可能です。

この点は会社によって工夫のしがいがあると思います。

剰余金の配当 剰余金の配当について異なる定め
残余財産の分配 残余財産の分配について異なる定め
議決権制限付株式 議決権の行使が制限される
譲渡制限付株式 株式の譲渡につき会社の承認が必要
取得請求権付株式 会社に対して株式の取得を請求できる
取得条項付株式 一定事由の発生で会社が株式を取得できる
全部取得条項付株式 株主総会の決議で全部の株式を取得できる
拒否権付株式 決議には黄金株の株主の承認が必要
役員選任解任権付株式 役員を選任・解任できる

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