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事業会社が資金調達する際の選択肢には、金融機関からの融資だけではなく、エンジェル投資家や、ベンチャー・キャピタルからの資金調達、知人からの借入などがありますが、東京中小企業投資育成株式会社からの資金調達も、その選択肢の1つになります。
“東京中小企業投資育成株式会社”については、金融機関や、あるいはベンチャー企業、中小企業をサポートする弁護士、会計士等の支援機関のほとんどは知っていますが、意外に知らない経営者も多いのではないかと思います。
この記事では「東京中小企業投資育成株式会社」の概要や、特徴、投資先、平均投資額、資金調達をする際の申込手順についてお伝えします。
東京中小企業投資育成株式会社以外にも、名古屋中小投資育成や大阪中小企業投資育成株式会社もありますが、これらの3社は姉妹会社です。
Contents
東京中小企業投資育成株式会社とは?
東京中小企業投資育成株式会社(以下、投資育成)とは、中小企業投資育成株式会社法によつて設立された政策実施機関が「安定株主」となって、中長期的な視点から中小企業を支援する組織のことです。
設立は、昭和38年11月15日で、中心となる事業内容は、資本金3億円以下の会社の株式の引き受けです。
株式の引受というのは、具体的には中堅企業への「出資」ということです。
投資育成は、中小企業に対して出資することで「安定株主」になりますので、同じく出資することを目的とするベンチャーキャピタル(VC)とは、特徴が異なることになります。
VCは、その出口戦略としてМ&AやIPOを望んでいますし、出資する以上、(当然ですが)経営に対して口も出します。
投資育成は、法律に基づいて設立された政策実施機関であって、安定株主でもあるので、VCに比べると穏やかです。
また投資育成は、主要株主を見てもわかるように、会社としての公共性が非常に高くなっています。
主要株主 | 持株比率 |
地方公共団体(18都県) | 21.74% |
うち東京都 | 12.34% |
東京商工会議所 | 5.16% |
中小企業投資育成から資金調達をするメリット
言うまでもなく中小企業投資育成から出資を受けるということは、資金調達ができるというメリットがあるわけですが、資金調達ができるというメリット以外に次のような利点があると言えます。
・安定株主
投資育成の設立趣旨が、「安定株主になって中小企業を中長期的に支援」することにありますので、会社にとっては安定株主となり、しかも会社の自主性が尊重されます。
・会社の信用が高まる
公共性の高い会社から出資を受けることになりますので、投資育成が株主に加わると外部からの会社に対する信用はとても高くなります。
反面、公共性の高い会社が出資することになるので、出資の際の審査は非常に厳しいです。政府系金融機関から「融資」を受ける際の審査とは、ハードルの高さが全く違います。
因みに、審査の一環として、取引先に往査してヒアリングすることもあるようです。
・株価が下がる
近い将来に事業承継をする予定の会社など、株価を下げたい会社にとって投資育成の出資はメリットがあります。
投資育成が出資する際には、出資先の株価を算定することになります。この際の株価算定方式が独特な計算式であるために、基本的には(純資産価額方式などと比べると)株価は低く評価されることになります。
※ 株価の算定方式についての説明は省略します。
投資育成から資金調達する際は株価が下がりますので、上場前に株価を上げておきたいスタートアップとは相性が良いとは言えないと思います。
東京中小企業投資育成にとってのメリット
確かに投資育成は法律に基づいて設立されて会社で、しかも中小企業を支援するという公的なミッションがありますが、投資するメリットがなければ出資はしません。
会社側にとっては、会社の信用が高まる、安定株主対策などのメリットがありますが、その見返りとして資金調達した金額の(目安として)6%~10%を配当として投資育成に支払うことになります。
このやや割高な配当の受取が、投資育成にとってのメリット(リターン)ということになります。
東京中小企業投資育成からの平均調達金額は?
もし会社の経営者が投資育成からの資金調達を希望する場合には、実際どれくらいの金額を調達できるか気になるところです。
実は、投資育成株式会社がどれくらいの会社に対して、どれくらいの投資をしているかについてはデータが公表されていますので、ここでご紹介します。
東京中小企業投資育成の投資社数と投資額累計(2018年3月末)
投資先社数累計 | 投資金額累計 | 平均 |
2,235社 | 116,322百万円 | 52百万円 |
投資育成の平均投資額(≒平均調達額)は、約5,200万円です。
また上でもお伝えしたように、投資育成の株式算定方式は割安に評価される傾向にあるので、平均調達額もやや低めになっているのではと思います。
余談ですが、投資育成が実際に投資している主な投資先は次の通りです。
投資先 |
タカラトミー |
GFA |
ドリームインキュベータ |
ザッパラス |
キングジム |
ミスミグループ |
ゆで太郎システム |
東京中小企業投資育成の投資方法
東京中小企業投資育成が出資をするときには、普通株式や種類株式を引き受けることで投資をします。
特に、事業承継の対策として投資育成から出資を受ける場合には種類株式を有効に活用することができますし、既にお話ししたように株価の算定方式が独特ですので株価対策にもなります。
また普通株式や種類株式で出資する以外でも、例えば、新株予約権付社債でも投資することがあります。
東京中小企業投資育成への申込手順
最後に東京中小企業投資育成から出資を受ける際のフローについて確認します。
- STEP.1相談事業の概況、増資計画等、最近3期分の決算書、株主名簿を基に相談する。
- STEP.2申込み事業計画書、事業経歴書、役員等の略歴、製品カタログ等の必要書類を準備し申込み。
- STEP.3審査経営方針、事業計画、事業内容、収益見通しなどをヒアリングし審査する。往査することもある。
- STEP.4投資決定引受けの可否及び条件を当社役員会で決定する。
- STEP.5出資の払込み株式、新株予約権付き社債等発行の手続きと、資金の払込み。
以上、東京中小企業投資育成について説明しましたが、投資育成が出資して株主になると会社の信用が相当上がると言われていますし、独特の株価評価をしますので事業承継などの株価対策としても有効ですが、株価を上げて多額の資金調達をしたいスタートアップにとって投資育成は不向きとも言えます。
会社のニーズに合わせて、投資育成からの出資を検討するのがベストです。