魅力的なビジネスプランやビジネスモデルを思いついて起業したとしても、資金調達しなければ事業に着手できない場合がほとんどなはず。
ビジネスモデルにもよりますが、金融機関からの創業融資では能くて2,000万円が上限ですし、収支計画や返済計画次第では借入すらも難しい。
こうした場合は融資ではなく、エクイティファイナンスによる資金調達が選択肢の1つになります。
そこで今回はスタートアップがベンチャーキャピタル(VC)から資金調達する前に知っおくべき3つのハードルについて紹介します。
ビジネスモデルが優れているだけでは、VCから資金調達はできない。
投資対象として、どういった点が最も注視されるかについて解説しますので、これからVCにアプローチする方は一読することをお勧めします。
※ 本記事はVCから資金調達するときのハードルであって、日本政策金融公庫等の金融機関から融資を受ける際のハードルではありません。
銀行から融資を受ける際の注意点については以下のリンク先をご覧ください。
VCからの資金調達ハードル1.経営チームのトラックレコード
まずVCから資金調達するにあたって、最も重視されるのは「経営チーム」のキャリアと実績(トラックレコード)でしょう。
経営チームとは、CEOだけではなく、COOやCTO等も含む、主にCXOのことです。
VCからの資金調達では、経営チームのトラックレコードが最も重視されると考えて良いでしょう。
VCから資金調達する際は、社会人として「どこで」「どのような経験をしてきたか」、どんな「実績」があるかが最も注視されます。
理由は、過去と現在と未来は繋がっていますし、過去に実績があるならば将来も実績を作ることができる可能性が高いと(VC側に)想像させることができるからだと思います。
過去に実績のある経営陣に投資した方が、将来投資を回収できる可能性が高いということとも言えます。
例えば、過去に、起業後М&Aなどでイグジットした経験があるならば、それ以降の資金調達ではアドバンテージを獲ることができます。
VCからの資金調達ハードル2.ビジネスモデル
第1のハードルをクリアできたとして、次に待ち構えているハードルは「ビジネスモデル」です。
基本的に斜陽産業には誰も投資しません。
将来スケールするようなビジネスモデルでなければ、投資対象としては魅力的ではないので、VCから資金調達することはできません。
したがって、それなりに魅力的なビジネスモデルである必要はあります。
社会的な課題を解決するようなビジネスモデルとは、例えば、格安のRPA(Robotic Process Automation)を提供・普及させて人材不足を解消するようなビジネスモデルであったり、例えば、入居審査の通過が厳しい人達や、経済的な条件に余裕がない人達と空き家をマッチングさせるようなビジネスモデルです。
因みに、ビジネスモデルについて留意点があるとすれば、例えば、世の中に全くないようなビジネスモデルの場合、そのビジネスモデルについては優れたキャピタリストであってもほとんど誰も事業性評価できないという現実があります(こうしたケースでは、なおさら経営チームのキャリアが注視される)。
ここまでVCから資金調達するための上記2つのハードルについて説明しましたが、この2つのハードルを飛べない場合には、VCではなくエンジェルにアプローチすることをお勧めします。
VCからの資金調達ハードル3.ミッション
ハードル2のところでもお話ししましたが、社会的課題を解決するようなビジネスモデルである方が資金調達しやすい傾向にありますが、この社会的課題に関連して、経営者は(社会的な課題を解決するという)ミッションを強く打ち出すことも求められます。
ある著名なスタートアップには、採用にあたって自分たちが大切にするミッションを共有できるか否かをとても重視している会社もあります。
例えばミッションよりも「お金儲け」を重視した場合には、意外に売上は伸びません。理由の1つは「お金儲け主義」になると、その点をユーザーや消費者、すなわちターゲットに見透かされて逃げられるからで、また従業員など周りの人達を事業に巻き込めなくなる(事業を拡大できなくなる)からだと思います。
世の中には、ただ搾取しているだけの会社もありますが、搾取しているだけの会社は中・長期的に売上が伸びない傾向にあるように感じます。その一因は「お金儲け」を目的にしていて、社会的なミッションを信条としていないからだと思います(このような会社が中・長期的に売上を伸ばすためには、М&Aを繰り返し足算的に売上を積み増す方法を採る)。
ピッチやビジネスコンテストで最近のスタートアップのプレゼンを見ると、ほぼ全てのスタートアップがプレゼンの冒頭で自分たちの「ミッション」をアピールしています。
もちろん会社が掲げるこの「ミッション」はうわべだけのものではなくて、信念に基づいることが必要です。
mica
いずれにせよ、資金調達においては信念に基づいたミッションを明確に伝える必要があります。
まとめ
以上、VCからの資金調達を左右する3つのハードルについてお伝えしました。この3つのハードルに優劣を付けるならば間違いなく「経営チームのトラックレコード」です。
資金調達においては、その点を事前に十分に理解しておくべきですし、資金調達をしたい創業者はそうした経営チームを作るべきです。