資金調達をする際には、その調達として銀行からエンジェルまで様々で、一昔前に比べれば調達先の数は豊富になっているのは事実です。
金融機関から融資を受けたくても、貸出先に対して堅実な返済計画を示せなければ、融資は難しい。銀行からの借入が難しければ、第三者割当増資などで株式を発行して資金調達することも、経営者にとってはすぐに頭に思い浮かぶ選択肢です。
そこで今回は、資金調達先としてはとても有名なジャフコについて、その概要や投資実績、平均投資額、投資先の業種割合などお伝えします。
今後、ジャフコにアプローチして資金調達しようとするベンチャー企業の経営者は、事前情報として一読ください。
ジャフコとは?
CEOとCFOは、EとFの横棒が一本違うだけで、立場が全く違うと言われます。CEOは、基本的に創業者であって大株主の場合がほとんどです。
大株主≒会社の実質的所有者ですので、最終的な決定権はCEOにあります。CFOに決定権は無きに等しい。
ジャスコとジャフコも一文字だけ違いますが、業種はもちろん、利益率等も全く違います。
さてジャフコとは、日本を代表する投資会社です。設立は1973年ですので、先日ご紹介した中小企業投資育成より設立は遅いですが、投資会社としては老舗中の老舗です。
もともとは野村系の会社だったのですが、野村ホールディングス(株)及び(株)野村総合研究所が保有する全株式(27.8%)を買取り消却しました。
ジャフコの平均投資額は?
資金調達したい経営者にとって興味のあるのはジャフコの投資額ではないでしょうか。
東京中小企業投資育成が投資する際には、独特で、しかも国税も認めた株価算定方式があり、比較的割安に株式が評価されていましたが、ジャフコが投資する際には、投資育成のような独特の株価算定方式はありません。
※ マルチプルや投資倍率法などの比較的よく知られた方法で株価を評価します(計算式の詳細については省略)。
(出所:JAFCO開示資料より)
ジャフコの1社あたりの平均投資額は、約4.6億円。中小企業投資育成の平均投資額が約5,000万円でしたので、ジャフコからの方が大きな金額を調達できる可能性はあります。目安としては約4.6億円というところ。
ただ最近の傾向としては、ベンチャー企業に厳選投資しているようですので(2011年に31社だったのが、2018年には16社に減少)、かなり審査は厳しくなっているはず。
ジャフコの投資先業種と投資先のステージは?
ここではジャフコの投資先業種と投資傾向について確認します。
同じ投資会社でも、中小企業投資育成は安定株主となってやや高めの配当を目指す会社でしたが、ジャフコは純然な投資会社でキャピタルゲインを目的にしています。
キャピタルゲイン目的ならば、事業としてスケールする可能性のある業種に投資するはずですし、会社のライフサイクルで言えば、できるだけ早いステージで投資した方がキャピタルゲインは大きくなります。
この図を見るとわかるように、基本的に投資している業種はスケールする可能性のある業種がほとんどで、しかも早い段階で投資していることがわかります。
新規に投資している会社のほとんどはスタートアップ+アーリーステージで、その割合は9割弱です。
投資した業種のなかでは、医療・バイオは6%にすぎないですが、医療・バイオを評価して投資するのはかなり難しいですし、かなり専門的な知識がないとビジネスになるかどうか、スケールするかどうかを評価するのはとても難しい。
ジャフコの投資先企業は?
せっかくですので、ジャフコがどんな会社に投資しているか確認してみます。
ジャフコの投資先 | |
グノシー | APPBANK |
ビズリーチ | ココナラ |
じげん | チャットワーク |
コロプラ | Dely |
gumi | マネーフォワード |
リクルート | TABI LABO |
UUUM | 日本環境設計 |
医用工学研究所 | ユニフォームネクスト |
フォーナインズ | メガバス |
バンタン | グラニフ |
やはり認知度の高い会社は多いようです。
因みに、ジャフコはベンチャー投資だけではなく、バイアウト投資もしています。
ジャフコの投資プロセス
- STEP.1Finding投資担当者による案件発掘
- STEP.2Due Diligence投資対象先の調査および分析
- STEP.3Proposal持株比率や、出資金額等について投資条件の交渉
- STEP.4Investment投資委員会の最終決定による投資の実行
投資後は、独自のネットワークを活用した人材や取引先の紹介をすることなどによってIPOやМ&Aを目指すことになります。
まとめ
中小企業投資育成から出資を受けると会社にとっての対外的信用が上がるとお伝えしたことがありますが、投資会社としては老舗のジャフコから資金調達することができても会社の対外的な信用は上がります。
またジャフコから資金調達した後に、様々な支援を受けられるのも大きい。
因みに、ジャフコにアプローチしたときには自ら積極的にアプローチするという方法もありますが、投資担当者がピッチやビジネスコンテスト等で案件発掘のために観覧していることもありますし、尖ったサービスをしてると先方から直接アプローチがあることもあります。
ピッチ後の名刺交換会等で名刺交換をして接点を持っておくのが無難だと思います。