マネーロンダリングを防止することも理由の1つですが、以前に比べると銀行口座を開設するのは簡単ではなくなっていると感じている人は少なくないはず。
社会的に、昔に比べれば、コンプライアンスに対するハードルがかなり上がっています。
わかりやすい例を挙げると、約30年前は飲酒運転への取り締まりは現在ほど厳しくなかったと思いますが、今では飲酒運転をすると一発レッドカードでしょう。
金融業界も同じで、求めらているコンプライアンスの程度が上がっていています。
不正融資などがあると会社の信用が毀損することは言うまでもなく、金融庁から処分されると業績もかなりのダメージを受けることになりますので、可能な限りコンプライアンス違反は避けたい。
今回はコンプライアンスに関連して、銀行が融資をする際に経営者に対して行う身辺調査の基本的な方法と、その対応策について簡単にお伝えします。
今後(初めて)融資を希望される経営者は、まずは自分が金融機関の身辺調査の対象になることは事前に知っておいた方が良いでしょう。
身辺調査の必要性
金融機関を取り巻く環境が変化していて、求められるコンプライアンスの程度が上がっていることは既に説明した通りで、銀行としても可能な限り、不正融資だったり、反社への融資、あるいは貸倒などのリスクは事前に回避したい。
トラブルを回避するためには、事前に融資先や融資案件についてリサーチするのが一番です。
貸倒懸念債権等を処理したことがある人であれば容易に理解できると思いますが、焦げ付きそうな債権を回収するのは相当なコスト(時間と費用、精神的コスト)がかかります。
こうしたコストをかけるよりは、事前に融資対象に関してリサーチした方がコストは断然に安く、無駄なリスクを回避できることになります。
ネットを活用した身辺調査
様々なリスクを回避するために銀行は、融資対象になる会社(経営者)の身辺調査をせざるを得なくなります。
貸倒はもちろん、融資詐欺の被害に遭うなど、将来的なリスクやトラブルは回避したいのは言うまでもないことなので、銀行が経営者の身辺調査をするのは当然とも言えます。
経営者の身辺調査をする際には、まずはネットを活用して情報収集します。経営者の名前で検索して、ヒットした情報を確認します。
またGoogleやYahooなどの検索だけではなく、FBや会社のファンページ(ウォールの内容)も情報収集の対象になります。
因みに、融資先が飲食店であれば、食べログも確認されます。
銀行独自のデータベースを活用した身辺調査
経営者の身辺調査は、ネットを活用した身辺調査だけではなく、銀行独自のデータベースも活用されます。
※ この調査方法は過去の取引実績があることが前提で、取引実績がないと身辺調査では活用できない。
銀行独自のデータベースを活用する際には「経営者の氏名と生年月日」で情報を検索します。
この検索で過去の取引状況はもちろん、期日通りに返済していたか、事故案件の当事者になっていなかいどうか、どの支店からどれくらい借入しているか等の情報がすべて確認されます。
もちろん、ここで経営者のネガティブ情報が検出されると融資を受けることは難しくなります。
※ 例えば金融機関独自のデータベースで、過去にあった事故案件の当事者であることが判明すると、門前払いになることもあります。
個人の信用情報の確認方法
経営者個人の身辺調査とまでは言えませんが、融資審査のなかで、個人の信用も調査されることが一般的です。
個人の信用調査では、CIC(貸金業法指定信用情報機関)やJICC(日本信用情報機構)を活用して、信用情報がチェックされ、過去5年間の支払状況等が確認されます。
万が一、この信用調査でネガティブ情報が検出されても、金融機関によっては、それほどこの信用情報を重要視しない銀行もあります。
金融機関への斡旋業者等の調査
補足になりますが、金融機関に融資案件を紹介する斡旋業者や、コンサル会社なども(紹介実績が全くない場合には)調査対象になることがあります。
会社が直接、金融機関に融資を申込むときだけではなく、斡旋業者やコンサル会社などを介して融資を申込むことがあります。
このようなときには、経営者だけではなく、斡旋業者等も調査の対象になることは珍しくありません。
したがって、評判の悪い斡旋業者等を介して銀行に融資を申込むと、必然的に会社のイメージも悪くなってしまうというデメリットがあります。
身辺調査についてのまとめ
以上、経営者の身辺調査についてお伝えしました。
銀行と取引実績がないときに、経営者は身辺調査をされることを事前に知っておくべきですし、(銀行側が)身辺調査の結果、どのようなことを把握しているかを経営者自身が知っておくこと(想定しておくこと)は面談対策をする上で非常大切ですし、そこから(面談審査で)どのような質問をがあるかを予想し、その質問に対してどのような回答をするのかを準備しておくこともとても大切になります。