銀行と交渉せず融資の金利を安くする方法

銀行から融資を受けるときの金利は会社からしてみれば資金調達のコストであって、貸し手にとっては収益の源泉であることは言うまでもないこと。

金利は会社にとってコストなので、経営者であれば可能な限り割安に抑えたいはず。

金利を割安に抑えたいならば、種々の手段を康史てて銀行側と交渉するのが王道です。

ですが、銀行側とわざわざ金利交渉しなくても、金利を割安にできる方法もあります。

そこで今回は銀行と交渉をせず、金利を割安にする方法を紹介します。

中小企業の経営者は必読です（マメ知識として知っておいて損はなし）。

中小企業の会計に関する指針

融資での金利を安くする方法を説明する前提として、「中小企業の会計に関する指針」について簡単に説明します。

中小企業の会計に関する指針とは、日本公認会計士協会、日本税理士連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の4団体が、法務省、金融庁及び中小企業庁の協力のもとに、中小企業が計算関係書類を作成するに当たって拠り所にすべき指針を明確化するために作られた会計に関するルールのことです。

もう少し噛み砕いて説明するならば、中小企業の会計に関する指針とは、財務諸表の作成にあたって中小企業の拠り所となる会計のルールとも言うことができます。

中小企業の会計に関する指針のイメージとしては、「多少ルールが厳しい会計の指針」と言えると思います。

もちろん、「多少、ルールの厳しい会計」を適用するならば、その恩恵（メリット）も受けることができます。この恩恵については後述します。

ほぼ全ての中小企業の財務諸表は、税法に基づいて作成されています。

税法ベースで作成した財務諸表と、中小企業の会計に関する指針に基づいて作成した財務諸表ではどちらが正確な利益を算出できるかというと、後者の方が正確な利益を算出することができます。

税法ベースで作成した財務諸表の方が、中小企業の会計に関する指針に基づいて作成した財務諸表よりもユルいというイメージです。

いずれにしても、中小企業の会計に関する指針に基づいて財務諸表を作成すれば、より緻密に決算書を作成することができます（※）。

※ 上場企業の財務諸表は、中小企業の会計に関する指針に基づいて作成した財務諸表よりも、さらに緻密で厳格な会計基準に基づいて作成されています。

中小企業の会計に関する指針のメリット

中小企業の会計に関する指針では、それなりに厳しいルールに基づいて財務諸表を作成することになります。

それなりに厳しいルールに基づいて財務諸表を作成する代わりに、中小企業の会計に関する指針を適用して財務諸表を作成すれば、メリットも受けることもあります。

そのメリットの１つが、金利が割安になる（ことがある）という点です。

通常、銀行借入の金利を低くするには金融機関側と交渉する必要がありますが、中小企業の会計に関する指針を適用していれば交渉するまでもなく割安になります（※）。

※ 金利が割安になる融資制度は限定されています。また地域によっては信用保証協会の信用保証料も割引になります。

また、中小企業の会計に関する指針を適用するその他のメリットとしては、補助金の申請・審査で採択されやすくなることがあります（加点事由のため）。

中小企業の会計に関する指針を導入しやすい会社

中小企業の会計に関する指針は、それなりに厳しい会計のルールを適用することになりますので、資産が豊富な会社や、既に財務基盤が安定した会社がこれから導入することになると相当な手間がかかると思います。

逆に、創業したての会社は資産はそれほど大きくなく、B/Sも軽いことがほとんどですので、比較的中小企業の会計に関する指針を導入しやすいと考えられます。

特に、日本政策金融公庫の融資制度の１つである中小企業経営力強化資金は、中小企業の会計に関する指針を適用すれば金利が▲0.1％割安になりますので、創業したての会社は利用しやすいはずです。