【総論】タイプ別クラウドファンディングのメリットとデメリット

資金調達の方法としては、融資や第三者割当増資はもちろん、ビジネスローン、不動産担保ローン、ABLなど様々な方法があります。

できることならば、会社にとって最も都合の良い条件で資金調達したいというところが調達側のホンネのはず。

しかし、資金を出す側にとっても何らかの「目的」があるので、返済可能性が低かったり、イグジットや想定リターンが明確でなければ資金を供給するのは難しい。

特に、銀行借入や、プロパー融資、ベンチャーキャピタルからの資金調達はそれなりにハードルが高くなります。

そこでここでは比較的資金調達が容易なクラウドファンディングについて、その違いや特徴、メリット、クラウドファンディングの活用方法についてもお伝えします。

これからクラウドファンディングを活用して資金調達を考えている会社や、個人事業主、起業予定の人は必見です。

簡単にクラウドファンディングを説明すると?

ネットに親和性のある事業をしている会社はもちろん、個人事業主などもクラウドファンディングについては今さら説明するまでもないと思いますが、確認のため、簡単に説明します。

クラウドファンディングとは、ビジネスプランや、アイディア、目的などを反映したプロジェクトを実現するためにネットを通じて多くの人から資金調達する方法のこと。

もちろん、ただで資金を提供してもらうわけにもいかないので、基本的には資金提供の見返りとして、「何か」を返礼します。

当然ながら、クラウドファンディングの運営会社にも利用料として報酬を支払うことになります(目安としては10%~20%)。

クラウドファンディングの基本的な流れ

購入型のクラウドファンディングを前提とすると、クラウドファンディングを活用する場合の一般的な流れは下のようなステップになります。

  • STEP.1
    申込み
    クラウドファンディングの運営会社にプロジェクトの掲載を申込む
  • STEP.2
    webサイトに掲載
    クラウドファンディング運営会社のWebサイトにプロジェクトの詳細を掲載する
  • STEP.3
    募集開始
    プロジェクトに賛同して頂ける方から資金を募る
  • STEP.4
    募集終了
    プロジェクトの募集を締め切り、応募して頂いたサポーターにリターン(特典)を提供する

ざっくり言うと、これがクラウドファンディングを利用する場合の大きな流れになります。

タイプ別クラウドファンディングのメリットとデメリット

クラウドファンディングと言っても、その種類は1つではなくて、そのタイプは5つに分類できます。

まずはクラウドファンディングのタイプを確認すると、こんな感じになります。

タイプ 運営会社ex 市場規模(2016)
貸付型 Crowd Bank 約672憶
ファンド型 セキュリテ 約3億
株式型 FUDINNO 0.4憶
寄附型 Readyfor 約5憶
購入型 Makuake 約62憶

※ 2016年クラウドファンディングの市場規模については、矢野経済研究所のwebサイト参照しています。

2017年度のクラウドファンディング市場規模は、前年度比で46.2%増の1,090億400万円の見込です。

貸付型クラウドファンディング

クラウドファンディングの貸付型は、資金提供者(以下、サポーター)が利息というリターンを目当てに、クラウドファンディング運営会社のプラットフォームを通じて貸付金という債権を取得するタイプ。

この貸付型クラウドファンディングの市場規模が圧倒的に多くなってます(約672億円)。貸付型クラウドファンディングを運営するクラウドバンクのwebサイトをみると、実質平均利回りは6.78%とのこと。貯金よりも利回りが全然良い。

ただ貸付型であるということは、貸倒リスクもあるということ。

同社のサイトにもこんな記載があります。

元本が保証されているものではなく、対象債権の債務者の財務状態や為替、金利の変動等を原因として、対象債権からの回収額が減少し、または対象債権の評価価額若しくは処分価額が減少すること等により、本出資持分の価値が低下し、損失が生じる可能性があります。

貸付型のメリットは、利回りが良いことで、その反面、デメリットは貸倒リスクがあることです。

ファンド型クラウドファンディング

クラウドファンディングのファンド型は、株式型と違って、サポーターが株式を取得するわけではなく、クラウドファンディング運営会社のプラットフォームを通じて匿名組合(契約)に出資して、事業者から分配金を受け取るタイプ。

ファンド型は基本的に投資なので、元本保証はない。この点は貸付型と同じです。

これまで個人レベルでは、事業に投資できる機会というのは、ほとんどありませんでしたが、このファンド型を活用すれば事業に投資できるようになります。

ファンド型のスキームになっている匿名組合契約というのは、一言でいうと、投資契約です。サポーターは事業者に資金を提供する。事業者は事業から生じた利益を分配するという契約のことです。

貸付型のリターンは主に金利ですが、ファンド型は分配金(ファンド型クラウドファンディングを運営するセキュリテの場合 分配金=ファンド対象事業の売上金額×分配率)になります。

貸付型もファンド型と同様、(元本保証はないけれど)いずれ償還されるタイプです。

貸付型のメリットは、分配金を受け取ったり、個人が事業に投資してその事業を応援できる点で、デメリットは元本保証がないことです。

株式型クラウドファンディング

クラウドファンディングの株式型とは、サポーターがキャピタルゲインなどのリターンを求めて、クラウドファンディング運営会社のプラットフォームを通じてベンチャー企業の株式を取得するタイプ。

この株式型は2015年に創設された制度なので、市場規模はまだまだ小さい(0.4億円2016年)。

この株式型のクラウドファンディングはそれほど市場規模が伸びないと思います。

個人的な意見ですが、株式型によって資金調達できるといっても、見ず知らずの第三者に自分の会社の株式を保有されるというのは将来のトラブルの基になるはず。

やはり株式が分散するというのは(株主が不特定多数になり、株主数も増える)、トラブルが生じて、事後的なコストが高くなるように思います。

株式型で資金調達をする場合には、拡大縁故者募集という方法があります。これは資金調達側の関係者の縁故者や知り合いなどを中心に株式の募集をかけることです。

相続(事業承継)の場面を思い浮かべると容易に想像がつきますが、親族間でも争いになるのに、拡大縁故者であれば、なおさら争いになりやすいのではないかと思います。

因みに、株式型クラウドファンディングを利用する場合は注意点があります。

株式型クラウドファンディングで株主を募ることが「有価証券の募集」にあたれば、有価証券届出書、目論見書を作成・交付する必要があります。

「有価証券の募集」というのは、ざっくり言うと、50人以上に出資の勧誘をすること。

この有価証券届出書と目論見書の作成に、かなりのコスト(特に、時間とお金)がかかってしまうので、可能な限り、資金調達側は「有価証券の募集」にあたらないように注意すべき。

※ 例外として、発行価格総額が1億円未満の場合には、有価証券届出書の提出は不要になりますが、1億円未満であっても1,000万円超のときは有価証券通知書の提出が必要です。

この株式型のメリットは個人でもベンチャー企業に投資できたり、エンジェル税制による節税メリットを享受することができる点にあります。逆に、デメリットは株式を自由に売買できない点にあります。

またベンチャー・キャピタルから資金を調達した場合には、出資をして頂いた代わりに経営に対して実質的な発言権も与えることになりますが、株式型の場合には小口の個人投資家がほとんどですので、影響力のある発言権を与える可能性は少なくなると思います。これは資金を調達する会社側にとってのメリットと言えます。

寄附型クラウドファンディング

クラウドファンディングの寄附型は、サポーターがクラウドファンド運営会社のプラットフォームを通して寄附をするタイプ。

寄附型のクラウドファンディングの例として、Readyforを挙げましたが、Readyforのサイトを見ると寄附型だけでなく、購入型も提供しているようです。

「寄附金」と言うと、確定申告のときに登場する寄付金控除を思い出す方も多いかもしれませんが、寄附型のクラウドファンディングは、必ずしも寄附金控除の対象になるとは限らないので、寄附をしようと思うプロジェクトが寄附金控除の対象になるかどうか事前に確認することをお勧めします。

寄附型のメリットは、社会貢献できる点にあると思います。デメリットは経済的な利益はほぼなしという点です。

購入型クラウドファンディング

クラウドファンディングの購入型とは、サポーターがクラウドファンディング運営会社のプラットフォームを通じて、例えば、自転車、本、時計などを購入するタイプ。

日本で有名なのはMakuake、世界的にはKickstarterが有名で、Kickstarterは年間5憶ドル集めてると言われています。

購入型のクラウドファンディングを利用する(資金調達する側の)メリットはいくつかあると思いますが、まず1つはテストマーケティングができる点。

購入型を利用してどれくらい資金が集まるかで、どれくらいニーズがあるかを推し量ることができます。

またプラットフォームにプロジェクトを掲載する際には審査がありますが、この審査も金融機関から融資を受ける際の審査に比べればハードルは低いと感じます。購入型クラウドファンディングの審査が金融機関の審査よりも緩い点も購入型のメリットの1つだと思います。

プロジェクトのなかには、金融機関で融資を断られて、購入型クラウドファンディングで募集したところ、想定以上に資金調達ができて、その融資を断った金融機関が慌てたということもあるようです。金融機関にとっては痛い。

因みに購入型は、資金調達側にとっては販売にあたるので、調達した資金は売上または前受金で処理することになり、税金がかかることもあります。

この購入型のクラウドファンディングについては、資金調達というよりも、プロモーションやテストマーケティングとして活用する方がお勧めです。

因みに、購入型を利用するサポーター側のメリットは、特典を受けられる点にあります。例えば、飲食店が応募しているプロジェクトなどに応募すると、通常よりも割安な価格で良質な料理を食べられます。

タイプ別クラウドファンディングのメリットとデメリットのまとめ

最後に、タイプ別のクラウドファンディングのメリットとデメリットをまとめます。

タイプ メリット デメリット
貸付型 利回りの高さ 貸倒リスクあり
ファンド型 個人で事業投資可能となる 元本保証なし
株式型 エンジェル税制の利用可能性あり 株式の売買が難
寄附型 社会貢献 経済的利益は得られない
購入型 特典を受けられる 特になし